巨人V9研究エピローグ
2006.05.01 Monday
番外編を含めて、計14回にわたり巨人V9研究と題して投稿させていただきましたが本日が最終です。
小生が学んだ結論は、「巨人は決して強いチームではなかった」という事です。
先日紹介いたしました故牧野茂氏の著書を三たび学びます!
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弱い巨人が何故勝てたのか?ひとことで言えばそれは【チームプレーの精神】である。
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チームプレー、又はフォアザチームという言葉は、プロ野球界ならずともスポーツの世界を超えて、我々一般社会の組織でも問われるチームワークや団結と同じ意味と考えました。
しかし牧野氏はさらにこう述べます
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チームプレーとは「チームワーク」=「人の和」よりさらに深い考え方で、“人間集団におけるモラルから、グランド上のプレーに至るまで、あらゆる人間行動を網羅した広い考え方”といってよいと思う。
簡単な具体例をあげよう。
いまここで二人の人間がキャッチボールを始めるとする。ボールを握って投げる側は、次のように考える「相手が取りやすいところへとりやすいスピードで投げてやろう。投げ返す時のことも考えて胸元へ投げてやろう」そう考えて投げる。
一方受ける側はどうか。相手がそう考えて投げてもミスすることがある。だから相手の気持ちを察して、「万一とりにくいボールがきても、何とか受けてミスを未然に防いでやろう」この二人の「思いやり」がチームプレーの根本精神である。
このちいいさな「思いやり」は、やがて「自分の義務と役割を完全に履行」することに広がり、チームのために「自己犠牲」をいとわず、「助け合い」、そしてチーム全員に「感謝」するところにまで高められていく。
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V9の巨人軍は完全にこういう考えでひとつにまとまって、さながら「巨人一家」という家族のようなまとまりがあったと牧野氏は回想されます。チームプレーが確立されていれば、たとえ戦力的に弱くても、決してBクラスに転落するような事はないのであると。
さて、ここで話を近年にもどします。
我等がタイガースは本年当然のごとく、92年〜93年のヤクルト以来セ・リーグでは途絶えているリーグ連覇と、21年ぶりの日本シリーズ制覇を目指します。
セ・リーグでは、V9以降二連覇をしたチームは巨人と広島とヤクルトの3チームのみ。
三連覇以上を果たしたのはパリーグでの90年〜94年の西武ライオンズの五連覇です。
なんとしても岡田タイガースには、球団初の連覇、そして日本一を奪還してもらいたいですね(*^^)v
ある専門家はこう説きます…
監督によってチームが強くなる、そんな時代はもうとっくに終わった。根性野球だ、精神野球だ、魔術や管理野球と呼ばれる、そういうものも今の時代ではありえない。
今や日本人選手もFAの資格さえ取れば、簡単にメジャーに移籍ができ、日米野球などの交流や、メジャーの実況中継も毎日やっているので、アメリカからの専門知識もどんどん入ってくる時代です。野球の本質、戦略、戦術を含めてすでに出尽くし、今更新しいものは考えつかない時代になったと。ドラフト制度の自由獲得枠や、FA制度が導入され、今や12球団の実力は、拮抗してきていることが、連覇を難しくしているのである…
決して小生も否定はいたしません。
これからの時代は、そのチームに必要な適材適所の人材を揃える。優秀な選手の能力を見抜いて、新人選手を獲得して育て、かつ他チームからの補強ができうる編成能力のある球団こそ、常勝チームの条件になることは間違いありません。つまり、ある意味『お金もかかる』ということでしょう。
85年の日本一以降の20年間で10回も最下位となり、Bクラス16回という屈辱的な暗黒時代を歩んだタイガースが近年強くなったのは何故か?
外様である野村氏と星野氏が当時の久万オーナーに直談判して球団の方針が代わったことは有名で、間違いなく第一の要因であります。
…「せめてドラフトの1位2位ぐらいは即戦力を獲らなければ、絶対に今の阪神は変わらない!他球団が獲得にのりだすと、直ぐ諦めてしまうじゃないですか!」「オーナー!彼を獲得するにはあといくら必要です。出してくれますね!」
まさに即戦力の補強が必須だったのです。
この両監督の就任後、球団は代わってきました。その原点となるのが、スカウティングであり、オーナー自身の意識改革がなされたタイガースは、少なくてもこれからは、何年も続けて最下位になることはないはずだと断言いたします。
事実、星野監督就任以降、片岡選手、金本選手、アリアス選手、ウイリアムス選手、野口捕手等がトレードでタイガースにやってきました。2001年からはドラフト1位で安藤投手が入団。翌年は和田投手や木佐貫投手の獲得合戦に敗れたものの、自由獲得枠でなんとか杉山投手と江草投手を獲得。それまでの阪神なら、それほどリストの上位にいなかった二人を獲ることで「妥協した」といわれましたが、ドラフト5巡目で久保田投手をも獲得。久保田君は他の球団がいくら「自由獲得枠で獲ってもいい」と口説いても、「阪神にしか行きません」と突っぱねたとのこと。いままでの阪神には考えられないことでした。
そして岡田監督一年目には大争奪戦の末に鳥谷選手を獲得!2年目の新人も能見君や橋本君が即戦力で活躍!そして今年は新人で開幕入り選手はいませんが、将来性のある岩田投手や、前田大和君などを獲得。かつオックス君や相木投手などの補強も成功といえるのではないでしょうか。
もちろん、岡田監督が二軍監督時代から手塩にかけて育てた生え抜き選手達の成長があっての連覇ということも忘れちゃいませんで(^^♪「岡田チルドレン」なんて言葉が象徴してますね(^^♪
連載14回におよんだV9研究で、小生は何故巨人が強かったのかをたくさん学びました。
中心選手の存在、適材適所の打線、投手ローテーション、ドジャースの戦法を取り入れた先見性、徹底したチームプレーの浸透、有能なコーチングスタッフ。私情を捨てて勝負の心に徹する精神・・・・・
そして史上最強の監督川上哲治氏率いる巨人は、当初は「必勝」V3までは「常勝」V4からは「不敗」V6からは「無敗」となりました。
最後に、先日紹介いたしました、川上氏の著書からの言葉を引用いたします。
一、巨人軍は強くあれ
二、巨人軍の選手は紳士であれ
三、巨人軍はアメリカ野球に追いつき追い越せ
とは初代正力オーナーの指針であるが、そのなかで決して「勝
て」とは言っていない。「強くあれ」ということである。
すなわち、
勝利の値打ちとは、
究極『無敗』のことなのである。
我等が阪神タイガースの『無敗伝説』の幕開けを祈念して(^_^)v
参考文献:『巨人軍かく勝てり』牧野茂著 文春文庫
『夢 命を懸けたV達成への647日』星野仙一著 角川書店
『野村ノート』野村克也著 小学館
『遺言』川上哲治著 文春文庫
画像:岡田チルドレンこと関本健太郎を指導する岡田彰布監督
撮影:アナフレ猛虎会『広報部長』
☆頑張れ
阪神タイガース☆