猛虎かく勝てり2500
2023.07.04 Tuesday
“ 猛虎の強さ“
「ブルペン勝負!」。現在の野球、勝敗の分岐点はブルペンにある。岡田監督の持論でしょう。興味深い記事を見つけました。
先発投手が完投、完封するケースはほとんどなくなった。となれば、継投がポイントになる。いかに力があり、テクニックがあり、度胸が備わっていて、バラエティーに富んだスタッフがブルペンにいるか。これが勝負の決め手になると。
7月2日の東京ドーム。巨人戦での両チームはまさにブルペン勝負を繰り広げた。先発投手が試合中盤でマウンドを降り、そこから延長12回、戦い切るまでリリーバーは互いに失点しなかった。
その中で、特にしびれたのが岩貞君の存在。この巨人3連戦で3連投。押すところは押し、引くところは引く。懐の深いピッチングを十分すぎるほど示しました。
岩貞君は2013年度のドラフトで1位に指名され猛虎に入団。横浜商大出
身で、正直、なじみのない投手だった。外れ1位だったこともあり、例年に比べて注目度の薄い1位だった。そこから先発、中継ぎで9年。今シーズン節目のプロ10年目を迎えた岩貞君に転機が訪れようとしている。
昨年末、監督復帰が決まった岡田監督はひそかに投手陣再編を練っていた。この段階では先発としての大竹君、村上君の名はなかった。だから先発陣を考えた時、岡田監督の頭にひらめいたのが「岩貞」君の名前だった。評論家時代、ネット裏から見ていた岩貞君のピッチングを高く評価していた。左腕としての利点、キャリア豊富なマウンドさばき。持ち球それぞれが一級品であり、岩貞君を再編の目玉にすることにした。
すぐに動いた。安藤投手コーチに連絡。岩貞君の先発固定プランが進んでいく。
この時点で岩貞君の心持ちも大きな変化があった。それまでの3年、セットアッパーとして多くのゲームを投げてきたところからの先発転向。そうなればすべてが変わる。調整の仕方がガラリと変わり、中6日に合わせた用意が必要。そこに向かっていきながら、ここから180度、進む方向が変わっていく。
先発投手は若いピッチャーの成長で、十分に回っていくことが可能になった。逆にリリーフが手薄になる事態に…。監督は熟考する。だから前言を撤回した。岩貞君は先発。これを白紙に戻し、そこから急転、ブルペンの柱に戻すという波乱に満ちた修正案に出た。
リリーフから先発。ここで新たに気合が入った。おまけに背番号「14」を能見氏から受け継いだ。先発として挑戦する気持ちにあふれていたところで、再びリリーフの指令。岩貞君の心中、想像してみても複雑に揺れていたに違いない。
岡田監督は申し訳ないという思いがあった。チームの事情とはいえ、短い期間の中での配置転換。特にデリケートな投手のメンタルを考えれば、岩貞君にメリットは何もなかった。
安藤投手コーチから聞かされた再転向。チームの事情によって、自分自身が振り回されるわけだ。これもチームだからということで、よくある話だが、岩貞はそれをうまく切り替えた。プロ10年目、キャリアが心の変化に勝った。すぐにブルペンを支える側にシフトし、ブルペン最年長として、いまは勝ちパターンの真ん中に立つ。
この岩貞君を含め、猛虎のブルペンには訳アリの3人のサウスポーがいる。岩貞君に、故障から手術、リハビリを乗り越えた島本君。湯浅君が戻ってくるまでといわれながら、クローザーとしてドンと構える岩崎君。ブルペン勝負の猛虎には、頼もしい左腕トリオが待ち構えている。
参考文献:阪神タイガース公式サイト
画像:岩貞 祐太投手
撮影:アナフレ猛虎会『頑張れ阪神タイガース☆』
撮影日:2022年05月20日
場所:阪神甲子園球場