日本シリーズ総括〜その2・データ分析力
2006.01.25 Wednesday
週間ベースボール11・14号「知将/森祇晶の視点」
西武監督時代に3連覇を含む6度の日本一に輝いた森氏の今シリーズの総括です。
本日はポイント2
・データ分析力
両者は交流戦で6度の対戦があり、ある程度のイメージは残っていた。日本シリーズでは、それにスコアラーからの詳細データーが加わるが、準備期間の長かった阪神は、おそらく相手がロッテか、ソフトバンクかギリギリまで一方に絞ることができず、準備不足だったのではないか。逆にロッテはプレーオフを戦いながらも、阪神という相手が決まっていることで、自分たちが優勝した場合の準備を周到に進めていた、という印象がある。バレンタインの腹心としてメジャー時代から行動をともにした、データー分析のポール・プポ氏の存在も大きい。彼をネット裏に貼り付けたロッテは、徹底分析の上、投手別、打者別の詳細なデータを手にしてシリーズに臨むことができた。普通のスコアラーであれば、単に相手投手の持ち球だとかクセ、あるいはけん制や守備力などに目を向ける。しかし、ロッテの場合は少し違った視点で分析がなされていた。投手の配球から傾向を分析し、まさに“丸裸にしていた”と聞く。ロッテ打線は徹底して絞り球だけを思い切りよく振ってきた。バッテリーの傾向をしっかりと頭に叩き込んでいる証拠である。それは見逃し三振の多さにも表れている。決
して難しいコースに投げられての三振ではなく、むしろ2ストライクなら、手を出さなければならないようなコースでも、変化球を狙っていたために、直球を平然と見送っての三振だった。その姿を見て、何故阪神バッテリーは気づかなかったか。これが1,2戦だけならばまだしも、3戦目以降も軌道修正が行われていた形跡は少なくとも見当たらなかった。予告先発もロッテに追い風となる。監督会議で岡田監督の方から提案したそうだが、その意味が私には理解ができない。阪神の場合、投手の左右によって二塁手と右翼手を入れ替えるが、それほどオーダーに変わりはない。しかもロッテの左の先発はセラフィニの一人だけ。本当に予告先発がなかったら困るのは、左右の違いだけでなく、持ち球や配球、相性に応じて打線の組み替えを頻繁に行ってきたロッテだったはずだ。現にこのシリーズの4戦でも、先発してきた投手に合わせた最適な打順を組んできた。その最たる例が第一戦で4安打を打った二番の今江を第二戦で八番に下げたことである。予告先発により、阪神はロッテが信頼を寄せているデータをフルに生かされてしまった。
☆頑張れ阪神タイガース☆
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