1985年日本一研究 15
2007.03.19 Monday
”ネット裏に潜む敵”
これは、日本初のスコアラーでもあり、各球団から”尾張メモ”として恐れられた元西武ライオンズスコアラー、故、尾張久次さんが、83年の日本シリーズ直前に広岡監督に提出した対巨人戦に向けての報告書の抜粋である。↓↓↓
虚像がユニフォームを着ている
広岡監督殿
巨人偵察記・巨人の実像・
私が過去三十年対巨人と戦ってきた印象からみると、最低の巨人といっても過言ではない。人気という点では昔と雲泥の差があっても、実技つまり野球のすべてに対する取組む姿勢が欠けていて緻密性がない。個人的には優秀な人材はおりますが、チームプレー一つをとってみても一発で刺さねばいけないプレーをウロウロして生かすということは、過去の巨人では考えられないことです。極端な表現ですが、巨人のユニフォームを着ている虚像にすぎない。−こう断言できます。
戦法について:機動力の活用が非常に少ない。スチールの例、松本(76盗塁)、これに次ぐのが中畑(13)原(9)篠塚(9)と極端に走る人と走らぬ人が明白。ヒットエンドランにいたってはもっと低く、スチールをはじめ機動力を多用するケースは点差が大きくリードしているときのみで、僅差のゲームでは少ない。バントも投手に回ってきたときにはクロスゲームではやるが、上位打線ではまずやらない。つまり松本以外はクロスゲームのときには走ってこない。投手以外はバント無しと決めてよいと思います。
投手について:江川・力と技を兼ねてナンバーワン投手。ストレートとカーブの使い方が実にうまい。
西本・力はあるが投球数の65%がシュート。打たれながらも辛抱強いピッチングをやる。甘いシュートをよく打たれスピードが落ちている感じ。
加藤・ショートリリーフで来るとちょっとうるさい。コントロールがよく、勝負球のフォークが要注意
槙原・球威はあるが、細かいコントロールができない。新人ながら優秀な成績を残しているが、ストレート主体で球威に幻惑されないこと。
鹿取・シュート、シンカー、カーブ、スライダーと変化球多投。
定岡・スライダー主体。平均的にボールが高く、低目低目に集まってこないので痛打されている。
打者に関しての提案:打者によって、タテとヨコの球種で勝負を挑むことを提案いたします。
タテの変化(カーブ、シンカー、フォーク、チェンジアップなど)とヨコの変化(ストレート、スライダー、シュート)これを各打者に当てはめてみると、
タテの変化に弱い打者・スミス、松本、淡口、鈴木康、駒田、山本功、吉村、クルーズ
ヨコの変化に弱い打者・原、中畑、河埜、山倉
別格・篠塚
以上のように大別できます。
しかし原、中畑にしてもシュート、スライダーのコースが甘くなれば危険率も高い。
守備に関して:
スミス、松本、淡口の外野トリオは、捕球に対する安定度はスミス、松本。淡口は不安あり。肩及びスローイングは右肘に故障が無ければスミス。松本の肩とスローイングは外野手としてはBクラス。淡口はCクラス。
したがって走者二塁で正面への打球で無い限りホームインできる可能性大。控えの駒田はゴロのボールは裁きはよくない。クルーズも下手。吉村は足があるから打球に追いつくのは早いが、肩、スローイングがいまひとつ。
内野手の守りも不安材料が多い。定位置への打球に対する処理はともかく、中畑、原にフットワークのかける面がある。
河埜、鈴木康は良いプレーもあるが、お粗末なプレーもある。原の場合はライン際の打球処理はよいが、右よりの打球に足がついていかないとみている。
10月15日
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以上抜粋である。もし今尾張さんが生きておられたら、現在のタイガースというチームをどう分析されるだろうかと考えさせられましたので、この度長文でありますが投稿させていただきました。
05年のシリーズ及び昨年のV逸脱は、スコアラー戦でも負けたと主張する専門家も少なくない。
まさにネット裏にをも潜む敵をも負かしてこそ、真の王者たらんですね。
参考文献:『尾張メモの全貌』講談社
画像:ネット裏から見た東京ドーム(鳥谷 敬内野手)
撮影:アナフレ猛虎会『濱ちゃん気になる〜☆』
撮影日:06年3月17日
☆頑張れ阪神タイガース☆
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